お医者さんの雑学

学術会議人事 反対

2020.10.03

政府は今の推薦制度が始まった2004年以降初めて、日本学術会議が推薦した新会員候補105人のうち、6人を任命しませんでした。

学術会議は、科学者が先の大戦に協力したり動員されたりした反省から政治と距離を意識してきた組織です。

今回任命されなかった6人は、安全保障関連法、特定秘密保護法、組織犯罪処罪処罰法などに反対の姿勢を示しており、政府には煙たい存在でありました。

人事権をてこにして批判的な組織を従わせる近年の政治手法は目に余るものがあります。

2013年に、内部昇格が慣例だった内閣法制局長官を外部から招聘し、法制局が認めてこなかった集団的自衛権の行使につながる憲法解釈の見直しにつなげました。

2014年には原発政策などに批判的な報道をしたNHK会長を入れ替え公共放送への関与を強めました。

今年に入り、検察幹部の定年延長を可能にする検察庁法改正案の成立を図ろうとしたのも、検察に影響力を行使する狙いがあったとされます。

学術会議の人事について、1983年5月の政府答弁で当時の内閣官房総務審議官が参院文教委員会で「実質的に総理大臣の任命で、会員を左右することは考えておりません。形式的に任命作業を行う。」と説明していたのに、6名を任命しなかったのです。

最後に、任命されなかった学者の一人が教えてくれた思想家ジョン・スチュアート・ミルが言論の自由の重要性を説明する際に用いた考え方を紹介します。
「少数派の意見が正しいとき、それを抑圧すれば社会は真理への道を自ら閉ざしたことになる」

先生のお考えは? (A)