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医事・世事をフリートーク

続 変える勇気と変えない勇気
国民皆保険制度


 私は20年前に、日本の医療制度について学ぶ機会を得て、 いろいろな方々からご指導をいただきました。

 その折、日本の医療制度の基礎といってもいい「国民皆保険制度」の精神を学び、感動したのを覚えています。 人の命は、お金も、家柄も、地域も関係なく、日本国民である限り平等であるというすばらしい制度です。

 私は、国民皆保険制度は、医療制度というより、最良の福祉制度と思っています。

 国際化の時代となった今日、諸外国に学ぶことはたくさんあり、良いところを取り入れることは大切ですが、 日本国として、日本人として、守り続けた方が良いこともあります。このことを私たちは肝に命じなければなりません。

 日本は安全で安心な国といわれてきましたが、それは、平和で治安が良かったというだけでなく、誰もが、 いつでも、どこでも、最良の医療を受けられる体制が整っていることも、安全で安心な国を築いている大きな要素だと思います。

 医療制度を変えるとしても、国民皆保険制度の公平・平等の精神は忘れたくありません。

 今、あらゆる改革、改正が唱えられていますが、その場しのぎのご都合主義や思いつきで変えてしまうと、 後々無理やひずみが生じてきます。たとえば、いったん無料にした老人医療費が、2割、3割負担になるという悲しい結果を招きます。

 日本の医療費は、国が負担する部分が高いのであって、医療費総額は、先進国の中でもそれほど高くはありません。 WHOは2000年発刊の「世界保健報告」の中で、保健システムの達成度(健康の達成度を示す指標)は、 日本が世界第1位、アメリカは第15位と評価しています。

 国家財政がきびしい現状にあるため、国の負担分の医療費 を増えないようにする努力も大切ですが、そのことによって、総医療費が増えるのであれば、 本末転倒になってしまいます。

 医療制度にかぎらず、日本の将来にとって、変えた方がいいことと変えない方がいいことの選択の局面は、 これからどんどん増えてくると思われます。

 だからこそ、私たちは、どんなことにも興味を持ち、 学習意欲を高め、しっかりとした自分の意見を確立し、常に決断できる勇気を養っておかなければなりません。