医事・世事をフリートーク

小児医療を救おう!

2005.05.02

ひと昔前は、内科医が開業するとき、小児科も一緒に標榜するケースが多くありました。ところが、昨今は、小児科医が内科を標榜することはあっても、内科医が小児科を標榜することはほとんど無くなりました。

病院においても、小児科医が他科のお手伝いをすることはあっても、他科の医師が小児科のお手伝いをすることは難しくなってきています。

小児科医には、重篤な病に侵された子供が、しばらくして、ウソのように元気になる姿を見られるという大きな喜びがあります。その一方で、子供の体は驚くほどデリケートなので、診療は常に大きなリスクを伴っています。

少子化傾向が続く中、最近は小児科医のなり手が少なくなり、小児科希望の医師が1割を切っています。そのため、小児科医は激務に耐え切れず、過労死する医師が出るほど、小児医療は深刻な状況になっています。また、小児科を診療科からはずす病院や、小児科の病床を無くし、外来のみにする病院が増え続けるなど、小児医療は悪循環に陥っています。

子供の病気は、待った無しにもかかわらず、特に、時間外や休日の救急体制が手薄なことが社会問題化しています。

小児医療は手間も時間もかかりますし、子供は大人のように、たくさんの病気を持っていません。薬剤や診断材料を使う量も限られています。病院といえども、民間であれば、不採算の医療を続けることにはおのずと限界が生じます。医師の経験年数で給与が決まっている病院は別として、小児科医の給与も、他科と比べて低くなっているという現実もあります。

つまり、小児科は不採算で、小児科医は仕事がきつくて給与が安いという傾向は、少子化の流れで、ますます顕著になります。

そこで次号では、どうすれば小児医療の窮状を救えるのか、提案いたします。

(A)